インターネット広告と医療法
特集 インターネット広告と医療法(メディカルウオッチャーより引用)

 メディカルウオッチャーでは、医療機関がインターネット上で行う宣伝活動についての特集を掲載するが、まず、医療機関が行う通常の広告について、どのような制約があるのか、説明しておきたい。


 医療法第69条では、医療機関が行う広告の内容について、厳しい制限を設けている。

 新聞(全国紙が良い)または、タウンページの医療機関の広告を見てほしい。医療機関名・診療科目・診療時間・電話・住所・地図・入院施設の有無・医師名などしか書かれていないはずである。これが、広告規制で許されている内容であると、思っていただきたい。一方、女性週刊誌などに見られる、美容外科の広告を見ると、「バストアップ」 「痛くない」 といった「手技・術式」 や「料金」 などの掲載が見られると思う。これらは、「医療法違反」 と、いうことになる。

 医療法で広告の内容を制限しているのは、情報が氾濫して、患者が混乱しないためである。情報源が限定されていた昔と違い、現在は多くの情報ソースが有ることなどから、徐々に、緩和の動きがあり、平成10年8月の改正では、「デイケア」などについて、広告が認められた。また、「甲状腺クリニック」 なども認められつつある(注:未確認情報です)

 さて、本題のインターネットにおける宣伝活動であるが、まず、インターネット上の宣伝活動が、医療法でいう「広告」に該当るかどうかの問題がある。医療法では、「広告」とは、メディアの形態によらず、「不特定多数に知らせる」ものをいう。つまり、新聞・雑誌・TV−CMや電車の車内広告(アナウンスも)のように、見る(聞く)側の意思に関わらず、伝えられるものを指す。このため、「奇跡の**療法」といった書籍を出版しても、見ようとする意思が無い限り、一般には知らされないのだから、広告違反にはならないと判断される。(病院名などを出して本のPRを行うと、広告違反とな
る場合も想定される。)また、出版側が取材して、記事を書く場合は、広告とはみなされない。

 さて、インターネットホームページによる宣伝活動であるが、厚生省は、平成9年の「医療監視等講習会」の疑義応答 の中で、「インターネットホームページは、広告には該当しない」 との判断を示している。インターネットホームページは、利用者が自発的な意思によって、検索して見るものとの考え方である。よって、「アトピー専門」  「当院の胃カメラは痛くありません」 「今なら初診料半額」  「就職前に歯を白くしましょう」 といった、一般の広告では認められないものも、インターネットホームページに
掲載しても構わないと言う事になる。


 ただし、バナー広告については、判断を濁している。
バナー広告とは、その医療機関とは無関係なホームページの一部に、小さなスペースを借りて簡単なPRを行い、さらに、その内容に興味を持った人が、そこをクリックすると、医療機関のホームページにリンクする、といったもので、インターネットでは、一般的な広告手段となっている。例えば、Yahooなどの「不特定多数が見る」ページに、広告規制以外の事を書いたバナーを出したり、バナー自体に問題は無いが、そこをクリックすれば、「二重まぶたで人生をエンジョイ」というホームページにリンクしているようだと、まずい。この解釈を延長すれば、掲示板に、広告規制以外の事を書き込んだり、そういったホームページの閲覧を促すのも、違反という事になる。無作為にメールを出す場合も、広告規制の内容のみが認められることに
なる。

 また、ホームページが、いくら広告違反にならないからと言っても、内容にウソが有ればJAROなどに叱られる事となるし、患者側から訴えられた場合、不利になる。


 参考までに、インターネットホームページアドレスを「広告に掲載することは可能」との見解を、平成10年8月に厚生省健康政策局が示している。ホームページアドレスを、電話番号などと同様に扱うということである。

 ここまで医療法の面から論じてきたが、薬事法の関係でも、厚生省は平成10年9月に通知を出して、見解を示している。それによると、商品名、購入方法を表示して、誰でも見れるようなホームページに出すと、「広告」とみなされる。つまり、薬の販売を目的としたインターネットホームページは「広告」の規制対象になるのである。薬事法で言う「広告」とみなされた場合、誇大広告の禁止(薬事法第66条)、未承認医薬品の広告禁止(同第68条)の規制などを受けることとなる。そのため、日本国内で承認されていない「バイアグラ」をインターネットホームページで販売しようとすると、未承認医薬品の「広告」とみなされ、罰せられる。

 また、承認されている医薬品でも、医薬品販売業などの許可を持たずに販売を行うことは、当然違法行為である。

 同じ厚生省でありながら、インターネットホームページの扱いについて医療法と薬事法で解釈が異なるのは、医療機関の場合は、必ず医師が診察を行うのに対し、医薬品の場合は、利用者がインターネットの情報のみで購入→服用して、薬剤師による服薬指導などが入らない可能性があるため、誇大な広告などによる被害の懸念からであろう。薬事法の解釈が1年半遅いことも影響しているのかもしれない。だとすると、医療法の解釈も、変わる可能性がある。

 ちなみに厚生省は、医療法における解釈を、H9.4に行っている。「バナー」など、専門的な用語を使用している上、「美容医療等に係る医療機関に対する対応等について(H10.9.22)」 という通知 (メディカルウオッチャーでは公開していません)の資料に、「ある美容外科のインターネットホームページにヘアヌードが掲載されている」 と書かれている事から、今後、インターネットで広告活動を考える人は、厚生省を甘く見ないほうが良さそうだ。

以上、これまでの通知などから、インターネットにおける宣伝活動について論じてきたが、インターネットの普及状況などによって、解釈が変わることも充分に考えられる。新たな情報が入り次第、メディカルウオッチャーでも、お知らせする予定です。




健康向上委員会